今月のロンリネス処方箋 #4

2019年3月12日

妄想の城を建てろ

こんばんは、きょうもせつないですね。黄身子です。
行動できないわりに、できないからか、会っていないあいだもずっとあの人が心の中にいると辛いですね。

ちょっとマイナス妄想のきっかけを見つけると秒で最悪なストーリーが完成し、うわ絶対そうだ、となってしまいますね。

だけど大事なことは、たぶんその妄想の95パーセントは間違ってて、とりあえず「まだ何も起こってない」っていうことなんです。

たとえ暗い妄想が当たってたとしても、あの人の気持ちはわからない。
そして現実の恋愛のストーリーは短編じゃないから、それがどうつながってくかもまたわからない。

それでもどうしても暗い妄想に取り付かれちゃった夜は、どうせだったら騙されたと思って、その想像力で幸せ妄想に全力で取り組めば、意外とちょっと気が楽になったりします。

あとそれでも辛いときは、現実を離れた妄想の世界を創造するとかも良いです。
私はかつて理想の王子様含む大量の登場人物が出てくる壮大な王朝を築いたりしてました。笑えるけど切実です。（いまもお酒を飲むと詳細に説明してしまってひかれたりする）

あの人にはあの人のストーリーがあり、気持ちは揺れる、だけど行動から気持ちを手に取ることなんてできなくて。そして一瞬の気持ちが直接関係性に結びつくとは限らなくて。

またあの日みたいな特別な瞬間は必ず訪れ、それは一秒ごとに近づいているということ、それだけが救いだから、それを待つ日々、わたしたちを脅かす妄想のエネルギーは、心を守ってくれる城塞を作るのに使えたらいいなと思います。

今夜は絶望じゃなくファンタジーを紡ぎながら、気楽に朝を待てますように。

（黄身子）

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イラストレータ：黄身子（きみこ）さん／

1992年北海道生まれ。
京都大学卒業、東京藝術大学修了。

2016年より「自意識過剰と恋愛不適合をゆるコミカライズする」をテーマにTwitterなどで漫画&イラストを発表。ウェブメディア「AM」で「連絡まち子ちゃん」「姫たちのユウウツ」、フリーペーパー「メトロポリターナ」で「今日も恋する?アートガイド」を連載中。